池江璃花子から学ぶ「報道の自由」の行方

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池江璃花子と言えば、日本競泳女子のエースと名高い選手です。
しかし、2019年2月12日に白血病を患っていることをTwitterで公表し、現在は治療に専念するとして療養しています。
そんな中、池江璃花子やその家族、関係者への待ち伏せや取材行為を自粛するよう呼びかけがなされました。

行き過ぎた取材行為の自粛を求めたことに対し、世間ではメディアに対する批判の声が挙がっています。
今回は、そんな療養中の池江璃花子や取材自粛を呼びかける事態に発展した理由、報道の自由についてご紹介していきましょう。

療養中の池江璃花子について

池江璃花子は、誰もが認める日本競泳女子のエースです。
2018年のアジア大会では6冠を果たし、大会最優秀選手として賞賛されています。
幅広く活躍し素晴らしい功績も残してきている中、白血病の公表は世間にもスポーツ界にも大きな衝撃を与えました。

オーストラリア合宿中に体の異変を感じて、精密検査を受けた所、白血病が発覚したとのことで、Twitterでは本人も信じられず混乱していると記載されていました。
復帰の時期は未定となっており、しばらくは治療に専念することが明らかになっています。
白血病は若ければ若い程な完治しやすいと言われていますが、治療に専念する池江璃花子を気遣って、Twitterには多くの方からのコメントが寄せられています。

2019年6月には治療期間に入ってから初めての一時帰宅を許可され、家族と共に過ごす写真を掲載していました。
そんな中、静かに見守って欲しいと願う彼女の思いとは裏腹に、一部のメディアによる行き過ぎた取材が問題になっています。
2019年9月19日には、池江璃花子のマネジメント担当である株式会社ジエブが、彼女のオフィシャルウェブサイトに報道関係者に向けて自粛の要請を公開しています。

公開された内容には、一部週刊誌などから、家族や関係者の自宅周辺で待ち伏せや取材行為がある事実、行き過ぎた取材行為によって池江璃花子本人や関係者などの心身に影響が出ていること、今後の取材行為を自粛してほしいことなどが記載されていました。

なぜ取材の自粛を呼びかける事態に発展したのか

9月19日に公開された内容については触れていないものの、池江璃花子本人もホームページを更新したこと、確認して欲しいことをインスタグラムで述べています。
では、なぜ池江璃花子のマネジメント担当である株式会社ジエブがメディアに取材自粛を呼びかける事態に発展してしまったのでしょうか?

取材自粛の呼びかけは、5月から行われていました。
5月では、病療養中はオフィシャルサイトを通じて情報発信していくため、関係者への直接取材を控えるよう訴えていました。
また、8月7日時点では、株式会社ジエブはオフィシャルサイトにマスコミに対するお願いを公開しており、本人や家族、関係者への行き過ぎた取材行為を止めて欲しいと訴え続けていたが改善されていないことを指摘しています。

つまり、池江璃花子本人をはじめその家族、水泳関係者・大学関係者・医療機関など、様々な関係者に対する待ち伏せや取材行為が長期間にわたって続いているのです。
9月19日の取材自粛要請では、病気療養中に池江璃花子本人が直接取材に応じることはないとも断言しています。
このような事態に発展したことに対し、世間やネットユーザーからは批判の声が挙がっています。

「療養中に押し掛けるのはひどい」「メディアは何しても許されるのか」といった声も多く、報道の自由がどこまで許されるのかという指摘も相次いでいるのです。
一部のメディアでは、災害や事故などが発生すると報道の自由を言って不法侵入するケースも少なくありません。
最近の事例では、7月の京都アニメーションの残虐な放火事件における報道で問題が起きています。

遺族や京都アニメーション側から実名を公表することを控えて欲しいと言われていたにも関わらず、報道の自由を盾に実名報道したのです。
病気療養中の身である池江璃花子についても、待ち伏せや行き過ぎた取材行為が改善されないことで心身に影響が出ないとは言い切れないでしょう。

報道の自由とは?

ここからは報道の自由について解説していきましょう。
そもそも、報道の自由とは表現行為の中で事実を伝えるために行うことの自由を表します。
元々言論の自由や表現の自由といった、個人の意見・思想を自由に言えることから発展し、報道の自由も含まれるようになりました。

例えば新聞やテレビなどの各マスメディアに報道の自由がなかった場合、必ず政府や審査機関が情報を流していいかどうかのチェックを行い、審査に合格しなければ情報を流すことができなくなってしまいます。
また、間違った事実だとしても情報を流す側が有利に働くものはどんどん情報として多くの人に伝わり、あたかもそれが事実のように伝わります。
現在のマスコミはこの報道の自由を盾にして、池江璃花子への取材のように、行き過ぎた取材が増えているのです。

報道の自由は日本国憲法で保証されている自由です。
しかし、日本の報道の自由は先進国の中でも最低ランクの位置にあります。
なぜ、日本国憲法でも保証されているのに報道の自由度は世界の先進国の中では低い位置にいるのでしょうか?
その理由として、記者クラブ制度が挙げられます。

記者クラブ制度とは、元々政府など公的機関への継続的取材を目的に作られた組織です。
あくまでも任意的な親睦団体と言われていますが、記者クラブと公的機関のつながりから癒着が発生しやすいのではないかと言われています。
また、記者クラブに入会するためには条件が限定されており、排他的な存在にもなっています。

本当の「報道の自由」とは何か?

先程も紹介したように、現代のマスコミは報道の自由を盾に様々な取材を行っていると言っても過言ではありません。
例えモラルに反するような、非人道的に行われた取材であっても「報道の自由だから」と言ってしまえば問題はないと考えていることでしょう。

報道の自由は、事実を多くの人に伝えていくことの自由を指しています。
これは国民の知る権利にもつながるところではあり、国民の知る権利に奉仕する行為が報道とも捉えられます。
つまり、「報道の自由」の土台には国民の知る権利があり、国民の知る権利が破綻しているような状態で報道の自由を掲げることはできないのです。

では、国民の知る権利があるからどんな報道をしても良いのでしょうか?
憲法により守られている報道の自由や取材の自由ですが、報道には各マスコミの取材陣・編集者一人ひとりのモラルや倫理観が関わってくるのではないかと考えられます。
今回ご紹介してきた池江璃花子の取材自粛要請などは特に、マスコミのモラルが低下していると言えるでしょう。

例えば、自分の大切な家族が病気になってしまい、頑張って治療している中で突然大勢のマスコミに囲まれたり、常に生活を見張られたりしたら、どう思うでしょうか?
池江璃花子は日本競泳女子のエースであり、世間からの関心が高い人物だったこともあって国民の多くは現在の様子を知りたいと感じているかもしれません。
しかし、モラルを破ってまで池江璃花子の現状を知りたいと思う国民は果たしてどれくらいいるでしょうか?


現代はネットが普及したことで様々な情報を得られるようになり、マスコミの信頼度はかなり低いものへと変わってきてしまいました。
本来の報道の自由・取材の自由を掲げ、信頼度を回復させるためにも、マスコミは人権への配慮を考えつつ、事実を報道していくべきだと言えるでしょう。

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