郷原弁護士から見たジャニーズ事務所の危機管理対応とは?

昨年、2023年に表面化した、ジャニー喜多川による性加害問題。連日、さまざまなメディアを賑わせました。テレビやネットニュース、SNSなどでも、この問題が多く取り上げられ、まだまだ記憶に新しいという人も多いのではないでしょうか?

性加害問題そのものについてのニュースはもちろんですが、記者会見についての報道も多く取り上げられました。中でも批判的な意見を発信し、注目を集めたのが、郷原総合コンプライアンス法律事務所代表の郷原信郎弁護士です。

郷原弁護士は、ジャニーズ記者会見のどのようなことに対して批判しているのでしょうか?

今回は、ジャニーズ事務所の記者会見と、それに対して郷原弁護士が何を批判しているのかについて調査します。ぜひ、最後まで目を通してください。

 

ジャニーズ記者会見は何が問題だった?

まずは、ジャニーズ事務所が開いた1回目、2回目の記者会見にまで、時を戻しましょう。

ジャニーズ事務所は2023年9月7日に1回目の記者会見、10月2日に2回目の記者会見を開きましたが、この2回の記者会見で、多くのメディアが問題にしたのは、以下となります。

 

・1回目の会見で「ジャニーズ事務所」の社名を残そうとしたこと、ジュリー藤島氏が社長辞任後も代表取締役に残留するとした(2回目の会見で社名を「株式会社SMILE-UP.」と変更し、被害者への賠償を終えたら廃業することにした)。

・2回目の会見では、会見時間を2時間に制限したこと、1社1問、再質問なしという制限を設けたこと、さらに質問者の指名において、特定の記者を指名しないようにする「NGリスト」が作成されていた。

 

主にこれら2つの点で、ジャニーズ事務所の記者会見は世間から批判を受けました。

 

郷原弁護士は、記者会見の何を批判している?

郷原弁護士は、ジャニーズ記者会見での問題について、顧問弁護士の木目田弁護士を批判しています。

 

“検事として法務官僚として有能で、その経験・能力を、企業法務、株主総会対応、危機管理業務等の弁護士業務で発揮してきた木目田弁護士だが、本件の対応では、前社長のジュリー藤島氏の意向と利益に沿うことを優先したこと、それに対する批判をかわそうとする対応に終始したことが、結果的に危機対応の失敗を招いたように思える。”

引用元:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/997178f114599a30dcd38203b77395b293d9aeb9

 

また、郷原弁護士自身のブログでは以下のように批判しています。

 

“危機管理業務を担う「顧問弁護士」の立場であれば、通常は、表に出ずに企業側に助言・指導を行うが、木目田弁護士は、積極的に表に出て対応した。”

“木目田弁護士の会見への同席は、まさに、ジャニーズ事務所問題に「不祥事対応のエキスパート弁護士」として関わっていることをアピールするものと言える。”

“「NG記者リスト問題」が表面化し、厳しい社会的批判を浴びたが、そのリストを作成・配布したコンサルティング会社FTIの日本法人は、木目田弁護士がジャニーズ事務所に紹介したことが、同事務所のリリースで公表されている。”

“中央公論の記事の発売時期・内容からすると、ジャニーズ事務所からの受託は、「危機管理のエキスパート」としての仕事をアピールしようとする意図があったように思える。”

 

これらの記述から、郷原弁護士は木目田弁護士の対応が問題だと考えているようです。

 

記者会見には誰が関わっていた?

ジャニーズ記者会見には、ジャニーズ事務所のほか、どのような団体・個人が関わっていたのでしょうか。

 

まずはジャニーズ事務所の顧問弁護士である、木目田裕氏があげられます。木目田弁護士は、西村あさひ法律事務所に所属し、危機管理グループを率いて主要企業の不正調査を手掛けるほか、第三者委員会や調査委員会の委員などを務めています。

なお、記者会見にも同席したジャニーズ事務所のCCOである山田将之氏は、西村あさひ法律事務所出身です。

 

記者会見を取り仕切っていたのは、コンサルティング会社FTIで、NGリストを制作した会社とされています。ただし、NGリストを作成したのはFTIの独断であり、ジャニーズ事務所も木目田弁護士および西村あさひ法律事務所も関与していません。

なお、木目田弁護士は、ジャニーズ記者会見ののち「誹謗中傷等に対する対策について」というニューズレターを発表しています。

そこには、個人攻撃のエスカレートや論点ずらし、誹謗中傷者への法的対応などについて記されていますが、冒頭で以下の木目田弁護士自身の言葉が掲載されています。

 

“私自身も特定の人物から執拗な誹謗中傷や個人攻撃を受けています”

 

ひょっとすると、郷原弁護士の批判を受けて、執拗な誹謗中傷や個人攻撃を行う一部の心無い人がいるのかもしれません。

また、以下のようにも述べています。

 

“社会では、そうした誹謗中傷や個人攻撃に晒された方が自死に追い込まれるなど、大変不幸な結果が現に起きています。それにもかかわらず、誹謗中傷は止みません。”

 

なくなることのない誹謗中傷を、社会から根絶しなければならないという、木目田弁護士の使命感が伺われます。

 

郷原弁護士ってどんな人? 今後の活動は?

郷原弁護士は、島根県出身で東京大学理学部を卒業、司法試験に合格後、検事に任官しています。検事としてのキャリアを重ね、検事退官後に郷原総合法律事務所を設立しています。

現在、企業法務部門や不祥事・危機対応部門に精通したコンプライアンスの専門家として活動しています。

4月28日に実施された衆議院補欠選挙では島根1区で出馬した亀井亜紀子氏を応援したり、YouTubeのチャンネル、郷原信郎の「日本の権力を斬る!」では、政治・経済などそのときどきのニュースを独自の視点で分析、解説したりしています。

 

今後も弁護士としての活動のみならず、さまざまな言論活動をしていくと思われます。

 

まとめ

ジャニーズ事務所の不祥事は、日本の芸能界のみならず、日本社会全体に大きな影響を与えました。

また、顧問弁護士を務める木目田弁護士および所属する西村あさひ法律事務所は危機管理対応者として、会見後に批判を受けました。

その批判を展開する代表的な人物が郷原弁護士でした。しかし、度重なる批判は一歩間違えば誹謗中傷と捉えかねられません。木目田弁護士が発表したニューズレターは、このような誹謗中傷を諭すためとも考えられます

 

いろいろと問題を提起したジャニーズ記者会見ですが、批判のリスクが高いからこそ、木目田弁護士は危機管理のプロフェッショナルとして顧問弁護士を引き受けたのではないでしょうか。火中に身を投じる覚悟と信念が、木目田弁護士には備わっているといえるでしょう。

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